【猫の爪とぎは止められない?】爪とぎ訓練の方法と対策グッズ

猫にとって爪とぎは当たり前の行為。ふと猫の方からバリバリという音が聞こえ、見てみると壁を思いっきり引っ搔いていた……なんて経験のある飼い主も多いのではないでしょうか?一生懸命に爪を研ぐ姿は可愛らしいものですが、部屋をめちゃくちゃにされるのは避けたいところ。とはいえ無理やり止めさせても、猫にとってはストレスでしかありません。

今回は猫も飼い主も笑顔になれるよう、爪とぎの訓練方法ともしもの時の対策グッズについて解説していきます。

猫の爪とぎ訓練方法

爪とぎは猫の本能から来る行動。止めさせたいからといって止められるものではありませんし、出来ればのびのびと爪を研いでほしいですよね。そこで少し視点を変えて、【爪とぎを止めさせる】のではなく、【飼い主が用意した場所でつめをする】ように訓練してみましょう。

ここではそんな爪とぎ訓練の方法について解説します。

猫の爪とぎは本能から来るもの

まず前提として、猫の爪とぎそのものを止めさせることは出来ません。猫にとって爪を研ぐという行為は自然界を生きるための本能から来る行動であり、下手に止めればストレスの原因になってしまいます。猫が爪とぎをするのにはいくつか理由がありますので、簡単に見ていきましょう。

一つは【鋭利な爪を維持するため】です。猫の爪は多層構造となっており、上の部分は古く硬い角質になっています。その部分を剥がし、新しく柔軟性のある爪を上に持ってくるのです。よく爪を研いだ後に大きい猫の爪が落ちていることがありますが、あれはその落ちた古い爪だったということですね。

【猫が縄張りを主張するため】にも爪とぎをします。猫のチャームポイントでもある肉球には汗腺という汗を出すための腺があるのですが、爪を研ぐ時にここからフェロモンを放ち、「ここは自分の縄張りだ!」と周りに警告しているのです。また、木などの垂直な物にする際は、自分をより大きく見せるためにぐぐ〜っと身体を伸ばして高い位置に爪痕を残します。

他にも飼い主への要求だったり、単純に気分転換に爪を研ぐこともあります。たった一つの行動にこれだけの意味があるのは驚きですね。だからこそ、爪とぎそのものを止めさせるのではなく、決められた場所で爪を研いでくれるように訓練する必要があるのです。

訓練は早い段階から

前項で説明したように、爪とぎの解決法としては【止めさせる】のではなく【指定した場所でさせる】ようにするのが適切です。しかし、こういった訓練は成猫になってからでは中々定着せず、ストレスを溜めてしまったり抵抗される可能性が出てきます。

子猫から飼い始めたという飼い主様は、食事の仕方やトイレの訓練と合わせて爪とぎの訓練をさせることをおすすめします。もちろん、成猫だからって諦めることはありません。時間がかかってしまうというだけで、根気よく教えていけばちゃんと覚えてくれます。

爪とぎ用の場所を用意する

爪とぎ用のグッズはペットショップやホームセンターで簡単に入手できますので、事前準備はそこまで手間ではないと思います。しかし、せっかく設置しても使ってくれないと意味はないですよね。爪を研ぐ時に優しくグッズまで誘導し、うまく出来たら褒めたりご褒美を与えてみましょう。「あそこで研いだら喜んでくれる」と認識して、進んで爪を研いでくれます。

慣れるまでは他の場所で爪を研いでしまう事があると思いますが、この時は絶対に怒ってはいけません。ストレスを溜めてしまう原因にもなりかねませんし、何より猫が構ってくれていると認識し、関心を引きたい時に怒った場所で爪を研ぐ事があります。猫が意図しない所で爪を研いでいたら、冷静に指定場所まで連れていきましょう。

爪とぎグッズに興味を示さない場合

訓練しようにも、そもそも猫がグッズに見向きもしない……そういった時は何らかの細工を施す必要があります。最もメジャーなのは飼い猫が好きな匂いを付着させたり、お気に入りの場所があるなら同じ材質の物を購入するといった対策です。

あとは、寝起きやトイレ後などの猫がよく爪を研ぐタイミングで爪とぎグッズまで誘導するのもおすすめ。どうしても興味なさそうなら、グッズの買い替えも検討しましょう。

猫の爪とぎ対策グッズ

訓練の最中やふとした時に壁や家具にバリバリと爪を研がれてしまうことがあります。それを防ぐには、対策グッズを使って【ここで研ぎたくない】と思わせるか、研がせても大丈夫なようにするのがおすすめ。

ここでは比較的メジャーな3つの対策グッズについて解説します。

対策シート

対策シートには【爪を研がせるタイプ】と【爪を研がせないタイプ】の2種類があり、部屋の材質などで使い分けられます。詳しく見ていきましょう。

・爪を研がせるタイプ

厚い段ボールや麻の素材で作られていて、シートで爪を研いでも壁や家具にまで傷つくことを防げます。信頼性が高く、猫もストレスを溜めることはありません。ただし、材質的に景観が損なわれたり、長く使っているとボロボロになるのが欠点です。

・爪を研がせない対応

ツルツルとした半透明のシートで、猫の爪が壁に引っかからないため「ここは爪とぎに向かない」と興味を示さなくなります。見た目的にもスマートで景観も損なうことがありませんが、壁にくっ付けて使用する都合上、ベニヤ板やビニールの壁紙など使える壁が限られています。

爪とぎ防止スプレー

猫が嫌いな柑橘系の匂いを噴射するスプレーで、壁や家具に吹き付けて使用します。貼り付ける、設置するといった面倒な事もなく、また安価であるためお財布的にも優しいのがメリット。柑橘系の匂いそのものはルームスプレーでもよく使われるため、飼い主様が不快になることも少ないでしょう。

ただし、猫の全てが柑橘を嫌うかといったらそうでもなく、全然苦手じゃないという子も多いです。そういった猫には当然効果はありませんし、苦手だった猫でもいずれ匂いに慣れてきます。総合的には【手軽だけど長続きしない】といった印象です。

ネイルキャップ

「猫にネイルキャップなんてあったの!」と驚かれるかもしれませんが、アメリカ等では比較的メジャーな対策グッズの一つです。爪が隠れてしまい、そもそも爪を研ぐことができなくなります。爪は飼い主様がお手入れをしていれば大きな問題にはなりませんし、むしろ管理がしやすくなったという意見も。

ただし、猫の爪はもともと収納できる構造になっており、ネイルキャップをされるとうまく爪を収納できず不快感を感じてしまうことがあります。また、爪とぎにはストレス解消を目的としている事も多く、それを封じられるということはかなりのストレスを抱えてしまうでしょう。

総じて一番効果的ではあるものの、猫の身を考えるとあくまで最終手段として用いるくらいがおすすめです。

猫の爪とぎとうまく向き合うためには

ここまで解説したように、猫にとって爪とぎは大切な行為であり、対策グッズも一部を除いて長期的に使えるものではありません。根本的な解決としてはやはり訓練して決めた場所で爪とぎをしてもらうのが、猫にとっても飼い主にとっても最良の方法でしょう。もちろん、訓練中の事故防止として対策グッズを併用するのは問題ありません。

性格などの個体差によっては爪を研がない猫もいますが、それでもほとんどの飼い主には爪とぎ問題は悩みの種です。今回解説した内容をもとに、根気よく猫と向き合っていきましょう。

                               

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