【猫は繊細な動物】実は猫がストレスを感じてしまう要因と解消法

皆さんは猫に対してどんなイメージを持っていますか?「のんびり日向で寝ている」「いつも堂々としている」など、総じて自由気ままなイメージを持たれる方が多いかと思います。しかし、実は猫はとっても繊細な動物。なにせ自然環境を一匹で生き抜くためには、僅かな音や光でも過敏に反応しなければいけなかったのですから。

飼い猫となった今でもそれは変わっていません。部屋の些細な変化や飼い主の取る行動でもストレスを溜めてしまうこともあります。そこで今回は、猫がストレスを溜める原因やストレスサイン、ストレスを解消するのはどうすればいいのかについて解説していきます。

猫がストレスを溜めてしまう原因

冒頭でもお話したように、猫は身の回りの変化に敏感です。落ち着ける場所がない、知らない人が訪問してくるなどの【環境的ストレス】はもちろんのこと、過度なスキンシップなどによる【人間によるストレス】にも注意が必要です。

ここでは猫がストレスを溜めてしまうよくある原因について解説します。

猫の生活環境

猫にとって、飼い主の家は唯一無二の自分の居場所であり、生活がそこのみで完結します。犬は散歩やドッグランなどで外出する事が多いですが、猫の場合は運動も全部室内ですから。だからこそ、【猫が〇〇できない部屋】というのはとてもストレスになります。よくあるNGな生活環境は以下の通り。

・落ち着ける場所がない

訪問者が多い、自分だけの空間がないなど。

・外がうるさい

特に都会は一日中音や光が溢れているため、猫にとっては非常に煩わしい環境。

・模様替えなど環境の変化

飼い主にとっては事前に予定していたことでも、猫にとっては周知されていない突然の出来事です。

・いつも使っている食器を変える

繊細な猫は、普段使いしている物が急に変わるだけでもストレスになり得ます。

私たちにとっての当たり前の日常が、猫にとっても当たり前とは限りません。これから猫を飼う人は、自分の暮らしている環境が猫に適しているのか、周囲に気を配ってみましょう。

飼い主からの過度なスキンシップ

猫は基本的に一匹で行動する生き物です。よく【犬にとって飼い主はご主人様で、猫にとって飼い主は仲間】というようなお話を耳にしますが、あながち間違っていないかもしれません。実際、イギリスの動物学者であるジョン・ブラッドジョー博士によれば【猫は人間を敵意のない大きな猫】だと思っているのだとか。

そんな猫と飼い主の関係ですが、飼い主からの一方的なスキンシップには冷たい反応を示します。もちろん個体差はありますし、甘えん坊の子はずっと飼い主から撫でてもらいたいなんて事もあるでしょう。しかし、少なくても飼い始めの頃は警戒したり、飼い主を怖がっていたりする事が多く、そうした状態の時に過度に触ろうとするとストレスの原因になります。

スキンシップは少なくても多くてもダメ。飼い猫の性格や気分を見て、上手な距離感をマスターしましょう。

発情期のストレス

去勢・避妊手術をしていない猫なら、発情期特有のストレスかもしれません。「でも発情期って春と夏だけじゃないの?」と思われるかもしれませんが、実は少し違います。確かにメス猫は本来、日照時間の長い春と夏に発情期が到来するのですが、常に明るい都会で飼っている場合は一年中発情期が来る可能性があるのです。また、オス猫には発情期はありませんが、発情期のメス猫の匂いや声につられて発情します。つまり、【秋や冬に発情期が来ても何らおかしくはない】です。

発情中の猫は大きな声で鳴いたり、匂いの強い尿をスプレーする、他の猫や人間に対して攻撃的になるなど問題行動が多くなります。それを飼い主が止めようとすると、自分の本能から来る行動を止められてしまうわけですから、猫にとって多大なストレスになってしまうのです。

猫自身のためにも、繁殖目的が無い場合は早めに去勢・避妊手術をすることを推奨します。

よくある猫のストレスサイン

私たちもストレスを溜めてしまって体調を悪くすることがありますが、それは猫も同じこと。ストレスフリーな生活をしてもらうのは一番ですが、万が一の時にすぐ気づけるように、よくあるストレスサインについて見ていきましょう。

落ち着きがない

猫は元々夜行性であり、夜に活発になるのは仕方ありません。しかし、同じ場所をウロウロする、唐突に鳴き声を上げるなど意味のない行動が続くようであれば、ストレスによるものかもしれません。特に引っ越しや模様替えなどで自分の匂いが部屋から消えていると、自分の居場所がないため、ウロウロしたり自分の匂いを壁や家具に擦り付けたりします。

また、ストレスではありませんが泌尿器系に異常があると、痛みや残尿感から動き回ることがあります。どちらにせよ、いつもは大人しい猫が落ち着きなく動き回っているなら、原因を突き止めたほうがいいでしょう。

食欲不振

私たちがストレスで何も食べたくなくなるように、猫もストレスが溜まっていると食欲不振になります。また、反対に過度に食欲が増えたり、水を飲み続ける【暴飲暴食】の傾向を示す時も。フードは飼い主がコントロールできますが、水の暴飲は飼い主にも気づきにくいため注意が必要です。

トイレ以外で粗相をする

いつもはきちんとトイレでおしっこする猫が粗相をしてしまう場合は、環境の変化によるストレスが原因かもしれません。特に、急に驚かされた場合やお部屋やゲージに閉じ込められた際に粗相してしまうことが多いです。ただし、頻尿や血尿、失禁の場合は特発性膀胱炎の可能性があります。

皮膚が赤くなるほど舐める

もともと猫はグルーミングと呼ばれる毛づくろいをよくする動物ですが、異常なほど身体を舐めているのならストレスが溜まっている状態の可能性があります。特に皮膚が赤く爛れるほど舐めている場合は舐性皮膚炎という皮膚炎をひき起こすことも……。

猫のストレスを解消させる方法と意識したいこと

猫にとって家と飼い主は世界の全てとも言えるもの。ストレスのない理想的な生活を送ってもらうには、室内環境と飼い主から猫への接し方を意識することが大切です。

ここでは猫のストレスを解消するのに必要なことと、ストレスを溜めないために意識したいことについて解説します。

爪とぎ場所を作る

猫にとって爪とぎは本能からくる大切な行為であり、それが出来ない事は何よりのストレス。壁や家具を使ってバリバリ爪を研いでしまう事もあります。そうならないように、飼い始める段階で猫に爪とぎ用の場所を作ってあげましょう。

爪とぎを覚えさせるにはある程度の訓練が必要です。子猫ならすぐに覚えてくれますが、成猫になると少し時間がかかってしまいます。焦らず根気よく訓練して、猫にとっても飼い主にとっても理想の空間を作りましょう。

コミュニケーションの方法を改める

猫がいくら可愛くても、ちょうどよい距離感を掴めないと仲良くはなれません。猫が遊んで欲しい時や構ってほしい時は、自分から寄ってきたり、飼い主を呼びかけてくるなど分かりやすい行動をします。距離感を掴み切れていない人はそういった行動に注目し、「なんとなく構ってほしそうだな」という雰囲気を感じ取れるようにしていきましょう。

また、猫自身の性格にも注意が必要です。普段から狭い所や高い所など【人の目に付きづらい場所】にいる猫は一匹で静かにしているのが好きな猫かもしれません。反対に、飼い主の視界に常に入るようにしている猫は甘えん坊さんの可能性があります。飼い猫がどんな性格なのかによって求められている対応も異なってくるため、そこも意識してみるとより深い絆を構築できるでしょう。

多頭飼育の場合は相性を考慮する

猫を一匹だけで飼っている場合、良くも悪くも飼い主(やその家族)と猫だけの空間ですので、関係の構築も飼い主次第となってきます。しかし、別の猫や犬と一緒に生活する多頭飼いの場合はそれぞれの相性に応じた配慮をしなければなりません。

仲が悪く、喧嘩ばかりしている場合はもちろんのこと、例え仲が良くても一匹で落ち着きたい時もあるでしょう。特に成猫のオス同士だと、時に縄張り争いに発展することもあります。他の子と仲良くしているのか、もし仲良くない場合はどうするのかまで考える事が大切です。最悪の場合は部屋を分けてしまうことも視野に入れましょう。

猫と上手に向き合っていこう

猫は繊細かつ警戒心が強い動物です。決して飼い主を嫌っているわけではありませんが、群れではなく一匹で自然界を生き抜くためにはそうならざるを得なかったのでしょう。しかし、それでも飼い主に懐けば甘えてくることはあります。

猫を飼う飼い主に一番大切なのは、猫がどんな気持ちでいるのかを感じ取ることです。構ってほしい時、一匹になりたい時など【猫が何をしたいのか】を汲み取ってあげてください。

                               

メモリーズ北九州コラム