老犬が夜泣きする理由とは?対策や周囲への配慮も忘れずに!

シニア犬を飼っている人にとって無視できない夜泣き、ペットが可愛そうですし飼い主様自身の負担も大きいです。犬の鳴き声は深夜の静かな環境では響きますし、近隣住民に迷惑をかけてしまったり、そのせいでトラブルになってしまうことも考えられます。

とはいえ、犬は何もただ迷惑をかけたいから泣いているわけではありません。夜泣きの原因は必ず存在しますし、その原因を取り除かなければ、犬も飼い主も近隣住民も平穏に暮らすことはできません。もし夜泣きの理由が痛みや病気の場合はすぐに対処しなければより深刻な問題にも繋がります。「もう年だから」と諦めたりせずに、原因と対処法について学んでいきましょう。

今回は、老犬が夜泣きするよくある原因と対処法、近隣住民のための対策について解説していきます。

老犬が夜泣きしてしまう原因

そもそも短期的な夜泣きであれば、よくある感情表現の1つとして分類されます。寂しかったり、寝付けなかったり、飼い主への要望があるなどの理由で泣くこともあります。しかし、冒頭でもお話したように怪我や病気の時に感情表現として夜泣きをすることもあるため、【夜泣き=〇〇が原因】と断言できないのが夜泣きの厄介なところ。

ここでは、夜泣きしてしまうよくある原因について解説します。

感情のコントロールが難しくなっている

老犬にとって、特別な理由がない夜泣きは珍しくありません。そもそも夜泣きは突き詰めれば、昼間に要求していることを夜にも要求しているだけですから。ではなぜ、若い犬よりも老犬の方が夜泣きしてしまう回数が多いのでしょうか?その答えはお年寄り特有の感情のコントロール能力の低下にあります。

これは何も老犬に限った話ではなく、我々人間も歳を取るごとにこういった現象が出てきます。この時注意しなければいけないのは、我慢させるように単に注意したり怒ったりしないこと。抑圧された欲求が理由で泣いているわけですから、無理やり押し込めればさらなるストレスになりますし、吠える声もより大きくなってしまいます。

日々のちょっとしたことが原因で夜泣きするわけですし、その理由を探したほうが良いでしょう。例えば夜中に催したのにトイレが汚かったり、食事の時間や食べるスピードなどが理由で深夜にお腹が空いていたりなどはよくある原因の1つです。感情の起伏が激しいからこそ、些細な原因である可能性も見過ごさないようにしましょう。

認知症によるもの

老犬が夜泣き=認知症と考える人が多いでしょう。実際、認知症の犬が夜泣きをしてしまう事例は珍しくありませんが、根本的な要因を考えるならばもっと深く知る必要があります。そもそも認知症とは老化による行動変化を指す用語ではなく、脳の記憶機能不全によって記憶力の低下や行動目標を忘れてしまう症状のこと。加齢による身体能力の低下とは全然別物です。

さて本題ですが、認知症の老犬が夜泣きしてしまう理由は昼夜逆転生活にあります。日中によく眠るせいで夜中に目が覚めてしまい、本来昼に要求するはずのものが夜にズレてしまうことで夜泣きしてしまうのです。認知症の場合は夜泣き以外でも、粗相が多い、以前から見知っている人でも警戒するなどの症状が出てきます。合わせて警戒しておきましょう。

痛みや不安によるもの

老人がそうであるように、犬も歳を取るごとに関節部分などに痛みが生じてきます。寝てる時の些細な動作が関節に響き、それによって夜泣きしてしまうことがあります。また、慢性的に関節が痛む犬であれば、昼間はともかく夜は眠れず、そのストレスで夜泣きすることもあるようです。

痛み以外では不安による夜泣きもよくあるケース。老犬は五感が鈍くなっているため、飼い主を認識できない、正体がわからない音や物体に怯えるなどの精神的な負担が原因で夜泣きしてしまいます。

これらは加齢によって起きている問題なので、老犬側での対処が難しく、飼い主様が老犬のために対策することが重要になってきます。犬がどんな泣き方をしているのかをしっかりと聞き分け、状況に応じた対応をしていきましょう。

老犬の夜泣きの対処法

夜泣きの原因は一貫性のあるものとは限りませんが、それでもある程度は絞れてきます。あとは、原因の可能性を一つ一つ潰していくことで夜泣きを止めるようにしていきましょう。特に飼い主様自身の些細な行動や世話でも、感情の起伏が激しい老犬にとっては良くも悪くも大きな影響を及ぼします。愛犬が何をしてほしいのかを見極め、適切な対処を施すことが大切です。

ここでは、老犬の夜泣きに使える対処法について解説します。

自律神経を整えさせる

認知症による夜泣きは自律神経の乱れによる昼夜逆転生活……ならば自律神経を整える事が最優先です。無理をさせない程度に昼間運動させることで陽の光を浴びさせ、体内時計と自律神経を正常に戻しましょう。

もし日中長く寝ているようであれば、少々酷ではありますが起こしてあげましょう。この時、ただ起こすだけでは犬にとってストレスでしかありませんし、二度寝をしてしまうこともあるので、スキンシップも兼ねてあげると効果的です。なるべく身体を動かした方が良いので、おもちゃで遊んであげたり、軽く散歩してあげるのもいいですね。

また、もしその他の認知症の症状が激しい場合はスマホに録画しておきましょう。獣医師にそれを見せることで、医師も適切な対処法を一緒に考えやすくなります。

身体の違和感や痛みは病院へ

歩き方がおかしい、夜泣きがどこか苦しそうなど、身体や行動に違和感を感じる場合は自分だけで解決しようとせずに動物病院で診察してもらいましょう。痛みの理由なんて数え切れないほどありますし、その中から適切な対処と処方を選ぶのは獣医師の専売特許です。

病院に通えば痛み止めを貰えますし、怪我や病気が酷い場合は本格的な手術や投薬が必要になってきます。なるべく早い段階で診察させてあげることで、通院や手術を防げるかもしれませんし、その方が費用的にも犬のストレス的にも最良です。

また、寝床にも気を配りましょう。寝てる時に身体を動かしても関節が痛まないように柔らかい材質に取り替えたり、周囲に怪我をしそうな家具や道具を置かないなどの配慮が必要です。また、少なくても寝る時はトイレを近くに配置した方が良いでしょう。五感が鈍い上に夜中ともなれば、歩きなれた道でも家具にぶつかって怪我をしてしまうリスクがあります。

不安材料を取り除く

上記の他に少しでも思い当たる節があれば、その都度不安材料を取り除いていきましょう。トイレをきれいにする、食事の時間やタイミングを一定にするなど、ほんの少しの対策で夜泣きを止めてくれることもあります。

飼い主様を近くに感じられないのであれば、寝床の近くに飼い主様の匂いが付着しているもの(衣服など)を置いておくと犬も安心できます。また、夜泣きしている間は感情的に不安定なことが多いです。怒鳴らずに撫でてあげたり、優しく名前を呼んであげたりなどをして緊張を解してあげましょう。

周囲への配慮について

夜泣きは飼い主様や老犬だけの問題ではありません。深夜帯は町中も静かですし、ちょっとした声でも結構響くもの、それが犬の鳴き声であればなおさらでしょう。

状況を察してくれる住民だったとしても、夜中に騒がしいのはストレスになってしまいますし、長く続けばトラブルは避けられません。長期に渡って夜泣きが鳴り止まない場合は解決策だけでなく、近隣に対する配慮も考える必要があります。

ここでは、夜泣きが続いた場合の周囲への配慮について解説します。

トラブル防止のための防音対策

夜泣きが酷い場合は防音対策を施すことである程度は周囲に漏れないようになります。もちろん限界はありますが、対策するのとしないのとでは防音以上に周囲への配慮のために後悔的です。

【対策しても多少音が漏れてしまう】のと【音が漏れているのに対策もしない】では持たれるイメージは180度変わります。近隣の皆様も、飼い主様がちゃんと対策しているのであれば大変さを理解してくれるでしょう。

防音対策といっても、なにも高価な物を取り揃える必要はありません。ペットが普段使っているケースに吸音材や防音壁を敷き詰めるだけでも効果は期待できます。また、窓には遮音カーテンを付けると、音が漏れないだけでなくペットも外からの光や音に対して過敏に反応することが無くなります。

自治体や近隣住民への報告

大前提ではありますが、夜泣きが酷くなる前に近隣住民に報告とお詫びをしておくことが大切です。犬を飼っている事は知っていても、同じ飼い主でもない限り夜泣きの苦労は中々理解できないものです。

また可能であれば、対策も一緒に伝えておきましょう。「夜泣きするかもしれない」だけでは住民もどうしたら良いのか分かりませんし、飼い主様の本気さも分かりません。逆に対策を伝えておけば「あぁ頑張っているんだな」と、ちゃんと理解してくれます。

もし自分で報告したくない時は自治体を通して連絡しましょう。とにかく、状況と対策を伝える事が大切です。一番やってはいけないのが、何も話さないこと。トラブルになった時に誰も庇ってくれませんし、飼い主様も住民も嫌な思いをしてしまいます。

デイケアや老犬ホームも視野に

どうしても夜泣きが無くならない場合はデイケアや老犬ホームなど、周囲の施設やサービスを頼る事も大切です。自分で解決できるに越したことはないですが、それが要因で飼い主様まで体調を崩してしまうことは避けなければいけません。

飼い主様の負担になっている事が犬にも伝われば、より犬も悲しい気持ちになってしまいます。そうなれば完全に悪循環に陥ってしまいますし、それが原因で精神的な病気を患ってしまうことも考えられます。

周囲に頼ることはなんら恥ずかしい事ではありませんし、自分で解決する事だけがペットのためになる訳ではありません。自分もペットも大切にする事が、ペットの安心に繋がります。夜泣きが続いてしまうことこそが根本的に危ないわけですし、それを防ぐために色々な対処をしなければいけません。デイケアや老犬ホームはその為にあるものです、遠慮なく頼っていきましょう。

夜泣きを放置することは誰にとっても負担になる

夜泣きは老犬は勿論、飼い主様にとっても辛い事です。そして、夜泣きが続けば近隣住民も嫌な思いをします。特に学生や小さな子供がいる家庭にとって、夜中の睡眠を邪魔されるのはとてもストレスでしょう。夜泣きの放置で得する人はいませんし、むしろ迷惑になったり負担になったりなど悪い事しかありません。

夜泣きをしている間は老犬も苦しい思いが続きますし、近隣住民も嫌な思いは続きます。飼い主様もずっと放置している訳にはいかないでしょう。動物病院やデイケア、老犬ホームなど周りの力を頼りながら、ゆっくりと原因やそれに合わせた対策を考えることが大切です。

                               

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