ペットとの暮らしは、日々の生活に癒しを与えてくれます。しかし、それと同時に飼い主としてペットを健やかに幸せにしていく責任もあります。ペットも生きており、嬉しいことがあると喜び、嫌なことがあると悲しみます。飼い主になるからには、時に優しく、時に厳しく、決して見捨てず、ペットが毎日を幸せに生きられるよう努めましょう。
今回はペットを飼うならぜひ読んでほしい事柄について解説します。
目次
ペットを飼う前に確認しておきたいこと
ペットは、飼いたいと思った瞬間に飼えるものではありません。身の回りの環境や家族の理解、ペットのための初期費用など、様々な課題をクリアしておかないと、いざという時にトラブルになりかねません。
ここではペットを飼う前に確認しておくことについて解説します。
自分が住んでいる環境
賃貸の場合はペット可の物件を選ばなければいけません。当たり前の事なのですが、実はペット不可の賃貸であるにも関わらず、管理者や大家さんに隠れてペットを飼っている人は一定数いるのです。もしペット不可の賃貸でベットを隠れて飼うとどうなるでしょうか?考えられる結末は【強制退去】【ペットを手放す】【違約金の請求】この3つでしょう。
大家さんもわざわざペット不可と明言しているのには理由があります。住民とのトラブル防止や初期費用を抑えるため、住民たちもペット不可を承知で、又はそれ目的で住んでいるのです。どうあっても幸せな結末にはならないため、飼うのであれば引越し等を検討しましょう。
持ち家であれ賃貸であれ、もう一つ注意して欲しいことがあります。それは部屋のサイズとペットのサイズ。基本的には部屋のサイズが大きいほど、ペットの選択肢は広がります。逆に、例えば大型犬など広い部屋が必要なペットを狭い部屋で飼育するのは困難であり、犬もストレスや運動不足で体調を崩してしまいます。
自分が住んでいる環境が本当にペットを飼うのに適している環境か、まずはそれを確認しましょう。
ご家族がペットを飼うことに肯定的か
もしご家族で住んでいる場合は、皆がペットを飼うことに肯定的である方が良いです。お世話は基本的に飼い主様が見るとしても、生き物を飼う以上、鳴き声や要求行動、室温や湿度、飼い主様のペットありきのスケジュールなど……少なからずご家族を巻き込んでしまいます。
また、例えば飼い主様が何らかのアクシデントに見舞われた時や、仕事や趣味で数日感家を空けなければいけない時など、ご家族が協力してくれる事で助かる場面は多いでしょう。逆に、ご家族に内緒でペットを飼ってしまうと家族間でのトラブルの要因になりかねません。家族で住んでいる以上、その家は皆の家ですから。
ご家族の誰かがペットにアレルギーを持っている可能性も考慮すると、やはり一度皆で話し合う事は必要でしょう。ぜひご家族皆でペットを飼い、支え合いながら素敵なペットライフをお過ごしください。
ペットを飼う時の初期費用
ペットを飼う時、皆さんはどれくらいのお金が必要だと思いますか?「そんなのペットを購入できるだけのお金じゃないの?」と思うかもしれませんが、実はもっとお金がかかります。ざっくりと上げるだけでも、保険料、ワクチン料、去勢・避妊手術料、エサ代、寝床やおもちゃ代は殆どの場合必要となるでしょう。
保護犬や保護猫はワクチンや手術が済んでいることも多いですが、それでも追加で費用がかさむ可能性は大いにあります。特に吟味したいのは保険料。悪質な保険会社ではない限り、基本的に料金が高額であるほど手厚い保険プランとなっています。そして、動物の保険は高齢期に入る前に加入しなければいけないプランも多いです。
例えば犬の場合は、狂犬病予防のためのワクチンや登録料等も必要になるため、犬の購入費用とは別に5万以上は確保しておきたいです。万が一の時も考えて、「これくらいあれば十分かな?」と思っているお金よりも更に余裕を持った貯金をしておいた方が安心です。
ペットを飼ったらどういう生活になるか
自分以外の誰かが同じ空間にいるということは、少なからず自分の生活に変化が起こるもの。まして、ペットを飼ったのならなおさらでしょう。今まで得ていた自由の内の何割かはペットのために割かなければいけませんし、それ以外でもあらゆる場面でペットを飼う前とは違った生活が待っています。
ここではペットを飼った場合、どんな生活を送ることになるのかについて解説します。
自分だけの時間をペットと共有することに
自分だけの時間というのは、ゲームや旅行などの【自分のためだけの行動できる時間】のことです。基本的にペットを飼うと、それまで自由に確保できていた好きな時間の何割かはペットの為に費やすことになります。
ご飯をあげたり、健康診断に連れて行ったり、犬の場合はお散歩の時間も毎日確保しなければいけません。また、旅行が趣味だった人はあまり気軽に家を空けることができなくなるでしょう。ペットホテルやペットシッターという手もありますが、あまり多用できるものでもありません。慣れない環境は、あらゆる動物にとってストレスになるからです。
もちろん四六時中ペットの面倒を見るなんて状況は稀でしょう。しかし、それでもペットのために時間を割くことは必然です。今までできていたことが、ペットを飼うとできなくなることは覚悟しておいたほうが良いでしょう。
なにかあった時の責任を取る
言葉を選ばずに言えば、ペットは飼い主様の所有物です。しかし、それは飼い主様が好きなようにペットを扱っていいという意味ではなく、適切な管理と監視によるコントロールをする必要があるという意味。基本的に、ペット絡みのアクシデントは大なり小なり飼い主様に責任が問われます。
例えばペットが道路に飛び出して交通事故を起こした場合、飼い主様の管理不足として処理されます。人に噛み付いて怪我させるなんてもってのほか、脱走して異性のペットに近づいただけでも問題行動として見られます。飼い主には、そうならないように日々のしつけと、何かあった時に責任を取る能力が求められているのです。
ペットをペットとして見ているのは飼い主様と、事情を理解している人たちだけ。その他の人たちにとっては、あるいは牙を持ち、あるいは爪を持つ危険な動物でしかありません。少なくても周囲に人や物がある場所では、「うちの子に限って」なんて無責任な考えは捨てましょう。
周りの人たちの理解が必要な時も
夜泣きや精神的な疾患がある場合など、本人にその気が無くとも周囲に対して迷惑をかけてしまうことはよくあります。今は全然問題ないとしても、高齢期に突入したり、何かアクシデントがあって疾患を患ってしまったり、今後そういった状態にならないとも限りません。もしそんな状況になったのなら、周囲の理解はほぼ必須と言えるでしょう。
ペットを飼う時、まず初めに心得てほしいのは【自分のペットは誰かのペットではない】ということ。どれだけ可愛いペットでも、周りの人たちには関係ありません。夜泣きをされれば迷惑ですし、会うたびに威嚇をされて良い感情を持つ人なんていません。住民とのトラブルを避けるためには、飼い主様が周囲に理解してもらえるように動く必要があるのです。
もしペットに何か問題があれば、周りの人たちや、それが難しい場合は自治体に相談するなど、とにかく周りに知ってもらうことが最優先です。迷惑している人がいるのに、自分から何も言ってこないなんて状況は、その人達からしてみれば決して楽観視できる状況ではないでしょう。
ペットを取り巻く問題
今や街には必ずといっていいほどペットショップがあり、そこに行けば様々な種類のペットが気軽に購入できます。そんな中、ペットショップそのものに関する問題点なども話題となっていますが、一方で間違った飼育に関してはあまり話題に上がりません。
ここではペット関係の諸問題について解説します。
種族や品種に合わない飼育
ペットへの愛情の全てが、ペットのためになるわけではない。特に近年は安易にペットを購入できる状況からか、十分な知識を得ずにペットを飼う人達が多く、そういった飼い主によるペットに合わない飼育が問題となっています。
例えば、肉食のペットに野菜を食べさせたり、人間にとっては無毒でも、その動物にとっては有毒な物を食べさせてしまうなどが最たる例です。コアラが他の動物にとって毒のあるユーカリを食べられるように、種族や品種によって食べて良いもの、食べてはいけないものは違います。
また、栄養が偏っている食事を、ペットが美味しそうに食べるからとそればかり食べさせている飼い主も少なくありません。こうした食事問題は、身近かつどの動物にも当てはまるため表面化しやすいですが、その他にも知識不足による間違った飼育をしてしまっている可能性は大いにあるでしょう。
ペットを飼う時はその動物に関する知識、特に食事、運動、最適な室温・湿度、生活リズムといった生活に直結するような知識は絶対に覚えましょう。
ペットを捨てる人たち
ペットを飼う行為は、いわば人間のエゴの塊です。だからこそ、せめて飼い主となったからには最期までペットに寄り添い、幸せな生活をさせる責任があります。しかし、その覚悟や意識が足りないゆえに、身勝手な理由からペットを捨ててしまう人が多いです。
赤ちゃんの姿に惚れ込み、育ってきたら想像と違っていたから捨てた。お金が想像よりもかかったから捨てた。こんな信じられないような理由で捨てる人達が本当にいるのです。そして、これらは【ペット】と【命】が繋がっていないことが原因でしょう。
形式上、ペットと言われてはいますが、彼らは私達と同じく生きています。ペットを飼う時は、くれぐれも命を育むという自覚を持って飼ってください。
貴方にとってペットとは?
私達動物は、食べ過ぎれば太り、老いれば身体が不自由になります。人間の大人や野生の動物はそういった課題を自分の力で解決したり、備えたりできますが、ペットはそうはいきません。人の手によって飼育されているペットにとって、その人が与えてくれる世界が全てです。
だからこそ、飼い主には十分な知識とモラル、愛情が必要なのです。貴方にとってペットはただの可愛いだけの存在ですか?それとも、長く一緒にいたい大切なパートナーですか?ペットが誰でも飼えるようになった今、改めてなんのためにペットを飼うのか、その理由が求められています。