ペットのご遺骨の色がおかしい?よくある疑問点をまとめて解説

大切なペットを見送る最後の儀式、それが火葬。飼い主になったからにはいつかそういう時が来るということは覚悟していることと思いますが、火葬した際にご遺骨はどのようにするかなどは考えていますでしょうか?

少し前であれば、そのまま寺院などに埋葬するのが当たり前でしたが、今では手元供養や自分で埋葬するためにご遺骨を持ち帰りたいという方が増えてきました。しかし、お骨を持ち帰り管理するということは、おそらく経験がないという人も多いでしょう。

今回はご遺骨に関する様々な疑問や、ご遺骨を収めた骨壷の正しい保管方法について解説していきます。

ペットのご遺骨を残したいときにすべきこと

そもそものお話ではありますが、ペットのご遺骨を残す際にはいくつか注意しなければならない点があります。火葬方法や地域別の考え方など、知っていなければご遺骨が残せなかった、思っていたのと違う結果になったなんてことになりかねません。

ここでは、ペットのご遺骨を残したいときに注意しなければならない点について解説します。

火葬方法は個別火葬にする

ペット火葬を初めてご利用になる方は驚かれるかもしれませんが、ペット火葬と一括にいっても色々あります。まず火葬する場所ですが、霊園で火葬する【霊園火葬】、市で火葬する【行政火葬】、自宅まで訪問しその場で火葬する【訪問火葬】とおおまかに分けて3種類あります。この内、ご遺骨を持ち帰りたいのなら行政火葬以外の場所で火葬したほうが良いでしょう。理由はあとで解説します。

続いて、霊園火葬と訪問火葬にはいくつかの火葬プランがあります。火葬する業者によって多少異なりますが、ざっくりと分けると一匹のペットのみを火葬する【個別火葬】、複数のペットと同時に火葬する【合同火葬】の2種類ですね。実はこの2つの中で、ご遺骨を持ち帰れるのは個別火葬のみなのです。

理由は簡単で、複数のペットを火葬する合同火葬ではどれが誰のお骨なのかわからなくなるから。そのため合同火葬で火葬されたペットは、火葬の後に合祀墓に一緒に埋葬されます。

また、さきほど行政火葬はおすすめしないといった理由ですが、これも他のペットと一緒に火葬するためです。細かな内容や火葬方法は役所によって異なるため、気になる方は市のホームページを参照してください。

お骨の状態について

「大切なペットの骨はきれいに残したい」という方には少し覚悟してほしい点があります。それは【ペットのご遺骨は全てが完璧に残ることは難しい】ということです。もちろん、業者の方も真剣にやっていますが、それでも確約できないのが実情です。

そもそも一口にペットと言っても色々な種類があります。小型の動物や大型の動物、同じ種類でも骨が丈夫なペットもいれば少々脆いペットもいるでしょう。特に古い形式の火葬炉は火力の微調整ができない場合もありますので、小動物のお骨を全てきれいに残すことは難しいでしょう。

もちろん全てが残せないわけではありませんし、むしろほとんどの場合はきちんと残る事が多いです。不安であれば業者に質問したり、各種レビューサイトなどでその業者の評判などを調べておきましょう。

また、お骨以外では爪や羽など燃えやすいものを遺品として残したい場合はあらかじめ取っておいた方が良いです。

収骨する際の関東と関西の違い

これはどちらかと言えば人間の火葬の場合であり、ペットの場合は必ずしもそうだとは限らないのですが、実は収骨の方法は関東と関西で異なる部分が多いです。ここでは大まかな違いを、なぜそうなったのかをふまえて解説していきます。

まず関東の収骨ですが、こちらでは大きな骨壷を使用します。収骨の際はスタッフの指示の下、全ての部位を骨壷に収め、最後は刷毛と塵取りで小さな骨の粉も一緒に入れます。そのため、すべて終わったときには台の上に何もない状態になります。

しかし関西では、小さめの骨壷を使って収骨を行います。お骨も全て骨壷に収めるわけではなく、一部のみを収めます。そのため、全てが終わっても台の上には骨がかなり残っている状態になります。

この違いは明治8年に【火葬禁止令】が廃止になった際にご遺骨はすべて持ち帰るようにと通達されたところから始まります。この時、明治政府のお膝元であった東京はこの通達を守ってすべて持ち帰るようにしていたのですが、関西では火葬場の近くに墓地が隣接しているところがほとんどだったため、関西では少ししか持ち帰らなかったそうです。

これはあくまで人間の時ではありますが、業者によっては関東、関西のやり方を採用していることもありますので、希望の方法になるかどうかはあらかじめ業者に相談しておくと良いでしょう。

ペットのご遺骨のよくある疑問

お骨というのは非日常的なイメージがあるせいか、実は「知らなかった」と思わず驚くような豆知識が多いです。中には根も葉もない俗説も混ざっていたり、副葬品のようにぜひ覚えておきたい知識も……。

ここではペットのご遺骨に関わる、よくある疑問について解説します。

骨の色は真っ白じゃない?

皆様はお骨と言われるとどのようにイメージしますか?おそらく、真っ白できれいなお骨を思い浮かべるかと思います。しかし、実際に火葬された直後のお骨というのは真っ白ではなく、むしろ青色や黒色など様々な色が付着していることが多いです。またお骨だけでなく、台の周囲に緑色の結晶が散らばっていることもあります。

これらの色の正体に関してはまだ確実と呼べる説はないものの、多くの場合は身体の中にある鉄分やカルシウムといった無機物が酸化したものではないかと言われています。また、その他にも【口の周りの黒色は露出した歯髄】【キラキラした緑色の結晶は胆のう】【単なるスス】といった説もあります。

ただ、骨に様々な色が付着していること自体はかなりあるようで、一部では根も葉もない俗説も流れて散るようです。

一部で伝わる俗説について

前項でも少し触れましたが、お骨には科学的、医学的な根拠の無い俗説が多いです。今回は【骨の色に関する俗説】と【分骨に関する俗説】について触れていきたいと思います。

まず骨の色に関する俗説ですが、よく聞くのは「骨の色は薬の色」や「黒色の部分はガン」、「副葬品の色が付着した」と言った内容でしょうか。これらは全て根拠のなく、また前項のような説得力のある説でもありません。薬の色が骨にまで付着するなんて信じられませんし、ガンはたとえあったとしてもほぼ燃え尽きます。副葬品も火葬炉の超高温な環境で白くなるか、色があったとしても淡い灰色にしかならないでしょう。

次に分骨に関する俗説ですが、どうやら一部では「五体満足でないと天国にいけないから分骨はすべきでない」と噂されているようです。宗教によって当然見方というのは異なりますが、こと仏教においてそのような教えはありません。それに、たとえそれが本当なら、身体に欠損部位がある方は、その時点で天国に行けなくなってしまいます。

このような俗説は調べれば色々出てきますが、どれも信頼できる情報源……いわゆるソースというものが確認できません。こういった俗説に限った話ではないですが、ネットや古くからの言い伝えに惑わされることのないようにしていきたいですね。

副葬品として好ましくないもの

副葬品とは旅立つ故人に対して最後の贈り物です。できればペットにとって大切だったものを副葬品に選びたいところですが、実は選んではいけない物もいくつかあるんです。細かな指定は業者によって異なりますが、ほぼ間違いなく断られるのは【金属類】【ガラス類】【プラスチック類】【革製品】です。

これらは燃えづらいばかりか、お骨や火葬炉に負担がかかるものであり、また有毒なガスが発生する危険性もあります。この他にも、爆発の恐れがあるものなども同じく却下されます。また、食べ物やおもちゃも場合によっては却下されることもあるため、事前に業者に問い合わせておきましょう。

ご遺骨のその後

今回の記事をご覧になっている方の中にはご遺骨を持ち帰りたいという思いだけ先走って、その後にご遺骨をどのようにするのか迷っているという方もいるかと思います。ご遺骨を持ち帰る人の多くは【手元供養】か【自分たちで埋葬する】ようにしています。

手元供養とは自分の家で供養するという意味で、後項で説明する骨壷で保管したり、ご遺骨を入れたアクセサリーを身に着けたりすることも手元供養に分類されます。

自分たちで埋葬するというのは、具体的に言えば樹木葬や自分の所有地に埋葬するといったものですね。こういった特別なものは業者で対応していないことも多く、別の会社にお願いしたり、自分たちで埋葬することになるのです。

骨壷の保管方法

火葬場から持ち帰るお骨は骨壷に収めますし、多くの場合はそのまま自宅で保管することになります。そうなった時に警戒しなければいけないのはやはりカビの存在でしょう。大切なお骨を汚さないためにも、しっかりとした保管をする必要があります。

ここでは骨壷の保管方法について解説します。

簡単にできるカビ対策

保管方法も確かに重要ですが、もっと簡単にできるのが【骨壷の密封】と【骨壷内の湿気吸収】です。一見「それができたら苦労しないよ!」と思ってしまいますが、実はどっちもすごく簡単。順に見ていきましょう。

まず骨壷の密封ですが、骨壷のフタ部分をテープでぐるっと巻くだけで終わりです。というのも、もともと密封性は骨壷の最重要項目の一つですから、そこまで神経質にならなくても大丈夫なんですね。とはいえ、流石にフタ部分はわずかに隙間が空いてしまうので、そこだけテープで塞いでしまおうというわけです。テープはマスキングテープなど剥がしやすいものを選びましょう。

次に骨壷内の湿気吸収ですが、これも至って簡単で骨壷の底に吸湿剤を入れるだけで終わりです。湿気も含め、水というのは滴り落ちるものですから、できるだけ奥底に置きましょう。

適切な保管場所とは

骨壷を保管する時は【直射日光を避ける】【風通しが良い】【昼夜で温度差が少ない】この3点を守って保管しましょう。それぞれの理由を説明します。

まず直射日光ですが、骨壷の変色や劣化を早めてしまう恐れがあるため。これは他の家具なども同様ですね。次に風通し、これは湿気を避けるため。そして最後の温度差を少なくするのは結露を発生させないためです。

これらを守った上で、定期的にお骨を取り出して天日干しをすると、中に入り込んでしまったわずかな水気も無くせます。お骨を取り出す際は素手で触れないようにしてくださいね。

もしカビができてしまったら

どれだけ対策していたとしても、カビができてしまうことはあります。もしそうなった場合はなるべく触らずに、業者に依頼するようにしましょう。なぜかというと、カビを取る方法は【焼く】のが基本だからです。

知識や技術の無い人が不用意にお骨を焼いた場合、お骨に負担がかかってしまいますし、最悪の場合火事に発展することもあるため大変危険です。下手なリスクを負うよりも、多少お金をかけて安全かつきれいにお骨を元の状態に戻した方が良いですよね。業者は【遺骨 洗浄】などで検索するとヒットします。

ペットのご遺骨は大切な思い出のかたち

火葬した直後のお骨はまだまだ分からない部分も多く、様々な説があるのが現状です。しかし、ご遺骨がペットの形見であり、飼い主様にとってかたちある思い出であることに変わりありません。「うちの子の骨が黒かったけど、ガンって本当かな?」と俗説で傷つく必要も無いですし、分骨をためらうこともありません。

天国にいるペットに心配させないように、ペットや飼い主様にとっての最善を見つけていくことこそ、飼い主様に残された最後の責任です。今回の記事がその一助になることを願っております。

                               

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