ペットも人間も、日々の健康のためには運動や食事のバランスなどを怠ってはいけません。しかし、私達は自分の意志だけである程度自己管理ができますが、ペットは飼い主様が健康管理をする必要があります。近年はペットもどんどん長生きできるようになってきており、高齢期でもちゃんとした生活を送れるように若い時からの健康維持がより重要となってきました。
毎日の散歩や栄養価の高いご飯を取り入れつつも、なにか異常があった際にすぐに行動できる様に健康チェックもできるようになりましょう。ペットがお年寄りになった時に「もう年だから……」ではなく、「ずっと元気!」と言えるようになるのです!
今回はペットの健康管理の方法や運動の大切さについて解説していきます。
目次
ペットの健康管理が毎日必要になる理由
ペットの健康管理はいつの時代も必要不可欠ではありましたが、近年はペットの寿命の視点からますますその重要性が高まってきています。人間でもお爺さんやお婆さんなのに毎日活力が漲っている方が増えてきていますが、それはペットでも同じこと。
ここでは近年の事情から見る、ペットの健康管理の重要性について解説します。
ペットの平均寿命が年々上がってきている
冒頭でも少し触れましたが、近年は医療技術の発展や栄養価の高いフードの発明、飼い主様の意識の変化によってペットの平均寿命が以前よりも飛躍的に伸びてきています。例えば、10年前までと比べて犬は0.7歳、猫は0.5歳も平均寿命が伸びており、これは人間に例えると3〜5歳ぐらいだと言われています。
また、様々な研究者が今後も寿命が増え続けるだろうと発表している事にも注目です。今はまだ、犬は20歳を超えているなら長寿と呼ばれていますが、いつかはそれが普通になる時代が訪れるかもしれませんね。
医療技術の発展について
我々人間がここまで長生きできるようになったのには、食べ物の他にも医療技術の進歩が大きく関わってきています。日本は先進国の中でも高い医療技術を備えていると言われており、その影響はペットにも良い方向へと向かっています。
分かりやすいものでいけば動物病院や獣医師の増加。農林水産省が統計したデータによれば、2011年の小動物用の動物病院の数が10,551軒だったのに対し、2020年では12,547軒にまで増えています。また、獣医師(小動物診療)の数も2004年から急激に増加しており、ペットブームとの相乗効果が目に見えて分かるほどになっています。
今ではペット用のレントゲンや超音波を用いた診断なども取り入れられてきており、もはや人間と同様の診断を受けられると言っても良いでしょう。まだまだ地域格差や病院あたりの獣医師の人数や個々のレベルのバラツキ等の課題点はあるものの、これからも着実に進歩していくと予想されています。
ペットの高齢化による課題点
ペットの寿命が伸びることそのものはとても嬉しいことではありますが、一方で高齢期特有の問題についてはまだまだ課題が多いのが現状です。ガンや関節痛、白内障などの発症率の高い病気や怪我はもとより、日々の生活のクオリティそのものの維持が困難になってきているのです。これからは動物病院側はもちろん、飼い主様側でも介護の知識や日々の健康管理がより肝要となってくるでしょう。
また、医療技術の発展はそのまま医療費の増額にも繋がってきます。以前よりも保険に加入しているペットは増えたものの、未だその重要性が上手く伝わりきっていないのか、加入せずに医療費で苦しんでいる人も少なくありません。
延命処置や安楽死などのセンシティブな話題も含め、限りある命に対して尽くせる事を考え行動することの重要性を改めて肝に銘じていかなければいけませんね。
ペットの健康管理に向けての基礎知識
ペットの健康管理を実践するにあたり、いくつか基礎知識を学んでおく必要があります。今回は運動により焦点を当てた記事を書いていますが、なにも運動だけが健康に必要なわけではありません。
ここではペットのためにできる事、覚えておきたい事の中から特に重要性の高いことについて解説します。
ペットのご飯は専用フードが基本
たまのおやつなどは除き、ペットのご飯はそれぞれに対応した専用フードを与えましょう。最近のフードは栄養価が高いのに加え、味も良いものばかりです。嗜好性の高いもの、含有水分量が多いもの、歯の健康に良いものなどバリエーションも豊富なため、専用フードだけでも好みのご飯が見つけやすくなっています。
また、犬や猫などのメジャーペットは種類や年齢によっても分類されていることがあります。その時はペットの様子を観察、折を見て取り替えていくことも視野に入れても良いでしょう。ご飯が美味しければ日々の生活が楽しくなるのはペットも人間も同じこと、活力の元はご飯からです。
おやつに与えるものはペットや年齢、目的によってそれぞれ適切なものが変わってきます。運動のご褒美や3時のおやつなど、用途によってカロリーや栄養価と相談しながら与えていきましょう。ただし、生肉や刺身は感染症の恐れがあるため注意。
もし専用フードがない場合は獣医師に相談することも大切。インターネットや本で調べる際は、必ず信頼性の高いもの(政府や病院、資格者が執筆したものなど)を参考にしましょう。
動物は我慢強い生き物
動物は飼い主様にすら弱みを見せません。自然界で生きてきた彼らにとって、弱みを見せることは「襲われると勝てない」と周りに教えているようなもの。ペットとして生まれてきた子たちにもそのDNAはしっかりと残っています。まして動物は人間に理解できる言葉を話したりはしません。飼い主側が日々の小さな違和感を逃さずに、もし具合が悪そうなら無理をさせずに動物病院に連れて行くなどの対応をしましょう。
しかし、そうなると動物病院に行くことそのものにストレスを感じる子もいるのが難しいところ。その場合は予めお世話になっている獣医師に申告したり、自分でもできる応急処置を教わっておくといざという時に役立ちます。とにかく、ペットのことはよく観察しておくこと。まずはそれを徹底してください。
予防はしっかり!
犬は狂犬病予防法により、ワクチン接種が義務付けられていますが、それ以外のペットでも必要に応じて予防接種が強く推奨されています。特に感染症は周りにも影響があるため、少なくてもこれに関しては事情がない限り接種しておくのが無難でしょう。病気になった後のことを考えるのも重要ですが、そもそも病気にならない事に超したことはありません。
健康診断も忘れてはいけません。動物が中々弱みを見せない以上、飼い主様の日々の健康チェックと動物病院での細かな診断こそが肝要です。最近はスマホアプリで気軽にタスク管理できるものも増えた事で、やることの整理がしやすくなりました。中には家族全員で共有できるものもありますので、気になる方は導入してみると良いでしょう。
ペットの健康は運動から!
ゲームなど人間のような娯楽がないペットにとって、健康維持とストレス解消は運動から始まります。私達も近年は運動不足が問題になっていますし、ペットと一緒に健康的な身体づくりをしていきましょう。
ここでは、ペットの健康管理を運動の観点から解説します。
日光浴はみんな大好き
日光浴は身体に良いとよく言われますが、その理由を知っていますか?それは紫外線と呼ばれる電磁波が太陽から発せられており、それを身体に浴びる事でビタミンDやセロトニンを増やすため。紫外線は過剰に浴びると皮膚に様々な悪影響を及ぼしますが、適度に浴びる事はむしろ健康につながるという事ですね。
ビタミンDは主にカルシウムを調節する役割を持ち、丈夫な身体づくりに必要です。セロトニンは精神の安定効果があり、躁うつに効果的と言われています。これは人間だけでなく、ペットにも同じ事が言えます。早朝なんかは紫外線もさほど強くないため、散歩の時間にはピッタリ。早朝に出来ない場合は夕方に散歩した方が良いとされているのも、熱中症も防げる上に健康に良いからです。
運動で肥満を防ぎ、健全な肉体を
健全な肉体を作り上げるためには運動が欠かせません。特に自然界に生きるペットにとって、身体を動かすことは生き抜くための行動といっても良いため、ストレス解消も兼ねられます。ペットの種類や年齢によって運動量は異なりますので、それぞれにあった適切な運動を心がけましょう。
特に平均寿命が伸びてきている昨今、ペットの高齢期における関節や筋肉の衰えはより深刻な課題となっています。身体を動かさなければ肥満となってしまい、ヘルニアや心臓病を併発しかねません。
「最近太ってきたかな?」と思ってからでは遅いです。若く元気なうちから積極的に散歩させたり、室内飼いが基本なペットでも家で出来る運動は欠かさないように。運動する際はボールなどの気を引くものや、ご褒美としておやつを与える事も効果的です。ただし、おやつはほどほどに。
散歩をするときの注意点
外を散歩する時はとにかく熱中症、熱射病、脱水症に注意が必要です。これらはよく「夏は気をつけるけど、他は大丈夫」と甘く見られがちですが、実際は一年中気をつけなければいけません。外を散歩するということは、恐らく犬の散歩になるでしょう。犬は四足歩行で、頭の位置が地面とかなり近く、地面からの熱の影響をもろに受けます。
暑さに弱い犬も多いため、危険だと感じたらすぐに散歩を中止し帰宅するようにします。体力的に難しい場合は運んであげる事も視野に入れましょう。また、水分補給はいつでも出来るように、ペットボトルに水を入れる事も忘れずに。
無理は禁物!毎日少しずつが大切です
運動は身体に良いことですが、同時に怪我や過度な疲労の原因にもなります。特にもともと身体の弱い子や高齢期を迎えた子には決して無理をさせないようにしましょう。また、ご飯やおやつの栄養バランスにも注意。ペットが可愛くてついつい与え過ぎてしまいがちになります。気持ちはとても分かりますが、ペットの健康を思えばこそ、常に【適度に】を心掛けてください。