知り合いのペットが亡くなった時の対応の仕方

知り合いがいつも話していたペットが亡くなった、会社の同僚が飼っていたペットが亡くなった、という状況に遭遇した経験はありますか?昨今は昔よりもペットを飼っている人が増えてきたことも考えると、決して珍しいことではありません。極端ではありますが、ペットを飼っているということは、いつか死別してしまうということですから。

さて、もし身近にいる人のペットが亡くなった時、皆様はどういった言葉をかけてあげますか?相手の心に寄り添ったつもりで「可愛そうだね」などと口に出してしまったら、相手をより傷つけてしまうかもしれません。当人に自覚がなくとも、それだけペットを飼っている人と飼っていない人とでペットに対する思いに差が出てきます。

今回は知り合いにとってペットとはどういった存在なのか、どういった言葉をかけてあげるのが正解なのかについて解説していきます。

知り合いにとってペットとは

「あれだけ可愛がっていたペットが亡くなったんだ、悲しくて当然だろう」と思っていても、それはあくまで当事者ではない人の感覚です。飼い主の気持ちを理解しろというわけではありませんが、なんとなくでも飼い主にとってペットがどういった存在だったのかは知っておきましょう。

ここでは飼い主にとってペットというのはどんな存在だったのかについて解説します。

ペットロス症候群

さて、こういったお話をする際はペットロス症候群というワードが必ずといっていいほど出てきます。ペットロス症候群とはその名の通り、ペットを失う(ロス)ことによる喪失感から、身体の不調や悲しみなどマイナスな感情に襲われる疾患のことです。特に近年は【ペット=大切な家族】という認識をする飼い主様が増えたことで、よりペットロス症候群を発症してしまう人が増えてきました。

ペットを飼ったことのない人には少し理解し難いかもしれませんが、実際にペットロス症候群にかかっている人は珍しくなく、中には1年以上も症状に苦しんでいる人もいます。ペットロス症候群を治す第一歩はペットの死を受け入れることから始まるのですが、やはりどうしても受け入れることができずにいるのです。

特に一人暮らしの人はペットこそが唯一の癒やしとなっている人も多く、その反動で症状が重くなることも……。そうでなくとも、ストレス社会とも揶揄される現代において、無垢なペットの存在を心の拠り所にしている人は大勢います。ペットが大切にされるのは喜ばしいことではありますが、一方でお別れしてしまった後の飼い主様の精神状態も懸念されています。

ペットの死は家族の死という認識なのか?

ペットは家族のようなものとお話しましたが、では飼い主にとってペットの死は家族の死と同じくらい深い悲しみなのでしょうか?答えは【人による】と言わざるを得ません。飼い主も人間である以上、ペットへの愛情や思いは人によって異なってくるからです。また、各個人の置かれている状況によっても変わるでしょう。

例えば、ペットを飼っている一人暮らしの人がいると仮定します。その人は今まで家族の死に直面したことはありません。もしそんな人が溺愛していたペットを失ってしまったら、それは正に【初めての家族の死】と呼べるのではないでしょうか。

逆に、家族の死を経験している人や、あくまでペットとして割り切っている人はペットとのお別れは辛いけど気持ちを整理することはできるという場合も多いでしょう。また、若い世代ならば、ボランティアや趣味などで気持ちを整理していることも多いです。

少々極端ではありますが、ペットを飼っている人が全員ペットロス症候群を発症していたら、もっとこの言葉は認知されていることでしょう。言い換えれば、それだけお別れによる精神的なダメージは人によってばらつきがあると言えます。

ペットとの死別の辛さは飼い主にしか分からない

ここまでの事をまとめると、【ペットロス症候群に陥る人も多い】【死別による悲しみは個々によってばらつきがある】ということです。つまり、強引な言い方をするとペットを失う悲しみは当人にしか分からないということ。

ペットを飼っている人と飼っていない人の意識の差はもちろん、個々人によっても意見は異なるでしょう。そんな状態で下手に気持ちに寄り添った気持ちになるのは、相手を却って傷つけてしまうことになりかねません。大切なのは無理に寄り添うことではなく、【悲しんでいる】という事実だけ認識しておくこと。

時間が解決してくれる場合もありますし、誰かの支えが必要な場合だってあります。もし相手が遊んで欲しい、話を聞いてほしいと言ってきたらちゃんと応えてあげる、それだけで相手に配慮してると言えるでしょう。

知り合いのペットが亡くなった時にかける言葉

知り合いにとってペットがどれだけ大切だったかは、当人しか分かりませんし、無理に共感する必要もありません。しかし、相手を傷つけることなく、最大限配慮した言葉は大切です。

ここでは知り合いのペットが亡くなった時にかける言葉と、反対にかけてはならない言葉について解説します。

基本は人間に対する対応と変わらない

「お悔やみ申し上げます」「ご冥福をお祈りします」「この度はご愁傷様でございます」といった、人が亡くなった場合に使用される言葉はペットなど動物に対して使用しても問題ありません。たとえ動物であっても、飼い主にとっては一つの尊い命であることに代わりはないという認識が大切です。

基本的には飼い主に対する配慮と共に亡くなったペットに対する敬意を払った言葉であれば大丈夫です。より飼い主に寄り添いたい場合は、知り合いを思うあまりペットの命を軽んじていると捉えられかねない事を言わないように気をつけましょう。

同情の言葉は絶対にだめ

前項でも軽く触れましたが、知り合いに配慮したいからといって「可愛そう」「また新しいペットを飼えばいい」というような言葉を投げかけてはいけません。これらは当人の気持ちも、失った命に対する敬意もまったく配慮されていない最悪な言葉です。

ここまで解説したように、飼い主にとってペットとはもう一つの家族の形といってもいい存在。家族が亡くなったというのに、「また新しい人を迎えればいい」なんて言う人は居ないでしょう。「そうはいっても人間とは違うでしょ」という人もいるかもしれませんが、それこそ当事者ではないから言えることです。

後項でも詳しくお話しますが、過度に心配することも、それを口にすることもありません。本当に手助けが必要な時以外は、そっとしておくことも大切です。

過度に言葉をかけない

ペットを失って悲しんでいる知り合いを見るのは心苦しいかもしれませんが、だからこそ【淡白にもならず、過度もならない】距離感を意識してください。ペットロス症候群になった人のための専門のカウンセラーがいるほど、心のケアというものは難しいのです。

一人になりたい時や、逆に誰かに話を聞いてほしい時もある。こちら側から過度に構えば、一人の時間が欲しい当人から煩わしいと思われる可能性もあります。基本的にはそっとしてあげて、何か手助けして欲しいと言われたらできる限り協力するというスタンスを取りましょう。

知り合いのペットが亡くなった時の対応

同僚がペットが亡くなったことを理由に有給を使っていた時、貴方はどう思いますか?忌み言葉の意味やメールでの正しい対応とは?ペットだからこそ対応が分からないことが色々あるかと思います。

ここでは知り合いのペットが亡くなった時の対応について解説します。

ペットが亡くなった時、有給は使ってもいいの?

結論だけ先に述べますと、全然問題ありません。そもそも有給休暇は【取得するのに特別な理由はいらない】のです。極端な話、家族の事情や諸事情で……と言って有給を取得しても大丈夫なのです。

有給が取得できない唯一の条件は【業務上に明らかな支障をきたす】場合のみ、またその場合も有給取得を不許可にできるものではなく、有給の時期をずらすことだけできます。ただし、もし不安ならわざわざペットが亡くなったからと言わず「諸事情で……」とだけ伝えましょう。

これなら有給もちゃんと取得できますし、よほどのことがない限り追求されることもないと思います。もし同僚が有給を取得した時も、自分が有給取る場合があることも考えて悪口を言わないように。

忌み言葉って?

お葬式のマナーについて調べる時にもときたま目にする忌み言葉、これは簡単に言えば【不幸を連想させるような言葉】を指します。

消える、滑るなど露骨に不幸を連想させる物もあれば、再度、度々など日常でも使っている言葉が忌み言葉になることもあるので注意。下記に日常でも使用しかねない忌み言葉になりうる言葉についてまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

【落ちる、滑る、消える、4、6】

これは受験生に対しても使ってはならない言葉として有名ですね。これらは不吉な言葉として扱われる時があります。

【重々、度々、しばしば】

このように同じ言葉が連続しているものを重ね言葉といいます。重ね言葉は不幸が連続で降りかかるとされており、状況次第では忌み言葉に分類されます。

【再度、再び、重ねて】

これらも重ね言葉と意味合いは同じで、不幸が連続で降りかかるからとされています。

メールではどう伝えればいい?

会社の上司や先輩、普段あまり関わりのない人などに対してはメールを用いて挨拶をすることもあるかと思います。その場合は【短く簡潔に】を心がけてください。また、本来は問題無いのにも関わらず避けられている言葉として「ご愁傷さま」というのがあります。

これはメールでも口頭でも使用できるのですが、近年では若者の間で「どんまい」と同じように軽く使用されることもあるため、特に互いの表情が分からないメールにおいては使用しない方が良い場面もあるでしょう。

もしご愁傷さまを使用したくない場合は、「ご冥福をお祈りします」などでも大丈夫です。文末には「お力になれることがあればお声がけください」など、相手を気遣う言葉を入れておくと良いですね。

相手と自分の意識の違い

知り合いの飼い主様にとってペットはどんな存在だったのか、失ってしまった時の喪失感はどのくらい大きいものなのか、結局のところそれは当人にしか図れないものです。しかし、いまこの瞬間にもペットロス症候群で苦しんでいる人は大勢います。一度は名を聞いたことがあるほどの著名人の中にも、ペットロス症候群で苦しんでいた過去を持つ人は少なくありません。

その苦しみは、あるいは傍から見れば「ペットが死んだくらいで大げさな……」と思うかもしれません。しかし、飼い主様にとってそれだけペットは大切な存在であり、だからこそ失った悲しみと喪失感は凄まじいものなのです。

そんな知り合いの心に寄り添いたいと思っても、本当の意味で力になれることは想像以上に少ないもの。今回解説したような言葉をかけてあげつつ、時には時間に身を任せることも必要だと言うことも忘れないでください。そして、本当に必要な時は精一杯協力してあげましょう。

                               

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